日本にシリコンを再び!

ブログを始めてまだ日が浅くいくつもためてあったのをこの数日でどんどん公開していきます。最初はどんどん書いてペースをつかむほうがいいとか書いてあったのでいくつも書いてます。全部堅い話題になるんですがまあそれが目的ともいえるから。ペースがつかめたら一週間に一つずつ程度更新していく予定です。

さてと、今日の話題に関連するブログはGoogleで調べるまでもなくたくさんあり、たいして新しいことを書いているわけではないです。。。Googleでヒットするブログはもっと詳細に書いてありますのでもしこのブログを読んで興味持たれたら色々とサーチされることを薦めます。

80年代の日本はシリコンアイランドでした。世界のDRAM市場をほぼ独占するようにNEC、日立、三菱、そして東芝といった大手からSONY、パナソニック(あの当時は松下電器産業株式会社でしたが)なども半導体生産工場を日本のあちこちに持ち世界の半導体工場として機能していたんですね。業界をリードしていましたから名だたる学会での論文発表や世界の特許件数も日本はけた違いにリードしておりました。DRAMに関する優れた教科書も日本人執筆でそればよい教科書でした(今でも持ってます)。が、その面影は今はない。。。かろうじて東芝のNAND フラッシュメモリとSONYのCMOSセンサーが世界的にみてもシェアを持っていますがあとはニッチな製品を除くと冴えない。リンクは世界の半導体会社トップテンのリストですが日本の企業は一社も入っていません。

The Top 10 Semiconductor Companies

10社中数社はいわゆるファブレス会社で一社(TSMC)はファウンダリビジネスの会社になります。

DRAMは大量生産することが基本です。大量生産するためには巨大投資が必要になりますがDRAM単価は上げ下げが激しく利益があるときはドカンと大きいのですが単価が下がると赤字になるかかろうじて原価を回収するだけになってしまうことになり、日本メーカーはより利益率のあるSoC (システムオンチップ)に投資をシフトさせていきました。実際Qualcomm, NDIVIAはSoCを主体とした会社ですからシフトそのものは正しい判断だったのでしょう。しかしDRAMと異なりあの頃大量にでるシステムがなかった。PCが唯一だったといえるでしょうがPCはIntelがシェア95%をがっちり握っていた。まだ携帯電話わけてもIPHONEに代表されるスマートフォンはなかったですしテレビといってもまだまだアナログテレビの時代。SoCにシフトしていくには早すぎたのかもしれない。一方DRAMは製造にかかわるイールド(歩留まり率)の問題はあるにせよ、機材を購入し建物を作れば参入できる製品で、韓国、台湾といった後進国(あの当時の)どんどんと参入してきた。日本のやり方をまねたわけです(国家が大々的にサポートしたという点で)。日本の半導体生産拠点は多く九州につくられました。半導体は小さいので大きな港が無くとも飛行場があれば出荷ができるので大きな港のある東京、名古屋、大阪圏にある必要がないのが理由だとかどうとか若いころ読んだ記憶があります。あのころまことしやかにささやかれていたのが日本の半導体生産技術者の多くが週末韓国、台湾でアルバイトをしていたとかいないとか。Samsungなどでアドバイザーとして工場立ち上げにかかわり現金収入を得ていたというのですが真相全くわかりません。ノウハウを手早く手に入れるには経験者を雇うのが常套ですからさもあらんなのかもしれません。

さて時代わり現在、世界の半導体生産で大きなシェアをもっているのは台湾のTSCMと韓国のSamsungです。

このTSMC、中国はのどから手が出るほどほしいでしょう。今盛んにアメリカに半導体関連で締め付けられていますがUSAにはほとんど生産能力自体はありません。AppleはじめUSAの大きなファブレスセミコンダクター会社のほとんどどはこの2社が生産を請け負っている。かりに中国がTSMCを強制的にも撤収するようなことになればアメリカ経済は大打撃もちろん中国も打撃を受けますがもうさしものアメリカも手がでないでしょう。そうでなくても今アップルは製品を中国で作っていますから台湾からの輸入を止めるだけでアップルはチップだけ台湾から受け取っても倉庫に眠らせるしかなく製品の出荷は止まってします。Qualcommだってお客は中国ですから、台湾製品を輸入させないだけで株価は大暴落してしまいます。経済事項を政治に使うのはアメリカがずっと40年くらい続けてきている政略ですがグローバル化が進んだ時代、実際の痛みは殴りつけた側がより受ける時代のなりつつあると思います。が経済は軍事よりも人々に直接関わってくるので今の政情に対応できる体制づくりは必要だと思います。

そこで表題になるわけです。日本に今シリコンの生産拠点を作る。TSMCはUSAに拠点を作ると言っていますがUSAで作るとおそらく台湾、中国で作るより人件費を含めてコストがかかるはず。でも台湾製のAppleへのChipとアメリカ製の同じパーツに別値段をつけるわけにはいかないはず。となるならTSMCとしてもよりコストがかからない地域に工場を作るべきでしょう。技術者がまだ残っていて相対的に技術者コストが低くかつ、政治的、軍事的に安定していて電力、水等の問題もないとすると、日本は理想的な地になるはず。

残念ながら半導体は初期投資と継続投資が巨大です。TSMCは今も台湾は新竹エリアにあるサイエンスパークにあります。サイエンスパークにあるころで税金上の恩恵を受け続けているそうですがけっかとして継続的な投資ができていると思います。日本がそんなことをすると”先進国なのに”ということでバッシングを受けるでしょうが、”国策である”とはねつけるくらいの勇気も欲しい。

シリコン、ソフトウエア、そしてデータです。これらが基幹技術になっていく。

それとEVを後押しするためにも巨大バッテリー工場もあると良いかな。

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ソウル ロッテホテル

写真は韓国はソウル。良く行ってましたが最後の5年ほどは行く機会がなくなりました。それだけ私のかかわるエンジニアリングの世界では衰えたということなのでしょうか?

中国について再び

先のブログで中国での経験を書きました。別段礼賛しているわけでもなくバイアスをかけているわけでもなく単に個人的な経験として日本での顧客ミーティングと中国でのミーティングの違いを書いただけですが、YTUBEを見るまでもなく日米(そしてUKもかな)中国嫌い、中国恐怖の大合唱な様相であります。

確かに中国は目覚ましい勢いです。すでにGDPで日本のほぼ4倍、いずれアメリカも追い抜かれるでしょう。これはもう仕方ないこと。人口比が違いすぎている。19世紀に大英帝国が栄えたのは奇跡にちかいそうです(人口的にみて)。アメリカはそれなりに人口がありいったん経済力をつけたとたん、あっという間に大英帝国を追い抜いてしまった。大英帝国は実は20世紀になるころにはUSAに追随していたわけで(そのおかげで帝国をかろうじて維持できていたのですよ)。今それが中国、そして遠からずインドでも見られる光景となるはずです。実際GDPでインドはもうUKに肉薄しています。記憶が正しければ現在はUSA,中国、日本、ドイツ、UK, インドの順番。ちなみにカリフォルニアはドイツの次に入ります。一つの州ですが世界のトップ5に入るだけの経済規模なのですね。

GDPが大きな国は巨大なマーケットになっていく。これは歴史的に見ても史実といえるでしょう。日本がジャパンアズナンバーワンと言われていた80年代を振り返ればわかります。高級品の輸入が急激に増え、ぜいたく消費、海外旅行が大ブームになったのも80年代に入ってからです。海外にでても日本人がどんどん消費してくれる。今では考えられないかもしれませんがパリなどのブティックでは買い物制限(一人XX個まで)なども出たくらいですよ(日本人旅行者が全部買い取ってしまっていた)。

時が過ぎて今そのベクトルが中国になっている。よく日本人は海外で好かれていると聞いたりしますが本当でしょうか? 観光地ではみんなお金の方が好きですよ。今はお金をもっと使うのは中国系の観光客です。ロンドンに行けばわかります。ロンドンでなくても銀座でもわかりますよ。それを”お金があるからって。。。”と言ったビデオを見たりします。同じことを80年代、90年代始め日本人もしていたんだというのを知らないからなのだろうなと思いますが身近(東京などで)そういった光景をみるとあのようなビデオのコメントになるのでしょうか? 50年、60年代はアメリカ人がそうだったわけだし(買い物など)。人は裕福になるとまずは買い物をするようになります。それで経済が回るのです。

中国は技術を盗む、ともよく聞きますが50年代、60年代の日本も同じだったですよ。トランジスタを持ち込むのに日本政府はアメリカ資本100%の子会社を作らせなかった。そこで今のSONYの前身になる会社が合資で会社を作った。また契約上開けてはならないブラックボックスを日本企業のエンジニアが開けて中をみたといういまでは’武勇伝”にまでなっているような話もゴロゴロしています。若い世代はこういったことは知らないでしょうね。国が大きくなっていく過程ではこんなことはどこの世界でもあるんです。中国だけがそんなことをしているわけじゃあないというのは知っておいたほうがよいと思います。

80年代を通してジャパンアズナンバーワンだった日本が怖くなった欧米諸国が一斉にいわゆるジャパンバッシングを始めた。ご存じかな? 今盛んに中国にそれをやっているようにも見えますが政治のことは未知、特に今は政治と経済が過去と比較にならないくらい複雑の絡み合っている。

しかし国の強さは軍事力ではなく経済力です。大英帝国は軍事力ではUSAの上でしたが経済力がなくWWIのころにはすでにアメリカより国力はなかった。

こういったことを伝えた非常に良い本があります。アマゾンで見るとまだ日本語訳がないようですが世界の歴史を違った角度から鋭くとらえていると思います。英語でしかもページ数がかなりありますが非常におすすめです。読んで時間の無駄になることはないと思います。 リンクを張っておきます。

日本語訳が出たらぜひ手に取ってみてください。

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上海にて 

中国でのミーティングと日本でのミーティング



ブログをはじめようとしたきっかけは日本の外にいるもう還暦に足が届いている現役のエンジニアとして何かを伝えたいからというのが動機です。もっと詳しくはおいおい書きたいと思いますが、最初のブログから固い話になります。昭和世代で遊んでこなかったまじめなエンジニアの話に興味あれば読んでください。

出張多き人生ですが昨年秋に開発エンジニアに戻るまでの10年をマーケティングに所属するR&Dエンジニアとして顧客回りを主業務としてきました。最後の数年は中国に行くことが一番多かった。最近日本のYTUBEやブログを見ると明らかに中国バッシングのような記事、ビデオに出会いとても心配です。あのような態度、考えは国を豊かにすることはできない。国豊にならずして人豊になるわけがない。昭和世代はそう思う。もっとも私は昭和世代のまま(平成時代を知らない)で私のような昭和世代はあまりもう日本には残っていないのかもしれないが。

出張で日本に行くと、顧客訪問では まず受付で登録してお客様が会議室に通されミーティングが始まる。よくあるのが当初予定されていた出席者の幾人かが仕事が忙しくて出席できなくなったということで最悪は一人だけになったり。一通りのことが終わるころには予定の時間になってしまいそこで終わり。大きい会社ともなると受付の方(たいていの場合女性)がドアを開けて時間が過ぎたことを伝えられる。そこでごそごそと帰り支度を。。。 会議室からでても別段だれも次の会議者が待っている様子もなく、また会議に出席されていた方々も別段急いでいる様子はなし。シャンシャンとおわりその日の予定は滞りなく進む。。。

かたや中国。 受付がある場合もありますが小さな会社も多くその場合そのまま会議室へ。基本英語でのミーティングになりますが中国人の同僚がフォローする、私自身中国語を勉強しているので中国語での質問も少しはわかるのでその場合英語で答えますが通訳はなし(これ実は喜ばれる)。ここで日本との違いが出てきます。 まず、こちらの話がためになると思うとWeChatを使って同僚をどんどん呼び込み始めます。実際、こちらは売りに行ってますから製品だけじゃなく周辺技術や技術動向、最近でた学会などのことも話の中に入れています。 そうこうするうちに予定の時間になりますが大抵お客サイドがもっと延長して話がしたいと言ってくる。私の中国人同僚がその日の予定をみて、いきなり電話をしてそのあとの予定時間の都合をつけ、結果ミーティングが延長される。。。結果、お客サイドはかなり上(日本の役職で言って部長とかそれ以上)を連れてきてくれるんです。こちらの好意にはその場で返してくれるわけです。気に入ったから評価したいとかその場でその上司に言ってくれるので早い。もうこれ以上いると次のミーティングに間に合わなくなる寸前までいるのですが別れ際に決まってすることがWeChatのグループ作りです。作ったが最後、次のミーティングに行くタクシーのなかではもうそのWeChatによるQ&Aが始まる。もっと驚くのがお客を紹介してくれるのです。それもこちらにするのではなく紹介したいお客に直接電話(WeChat)してくれるのであちらから連絡がくるわけです。自分のところにもよってくれというリクエストですね。”話が面白い。 ためになる”と言うのはとても大事でそれに対する彼らの好意は素晴らしいものがあります。

たった一つの問題はというと、こういったことが当然のようになるのでいつ食べることができるか全くわからないことです。したがってとにかく朝ごはん(大抵ホテルでのバフェ)をきちっと食べておくことパン、果物、水をカバンに入れておくことを忘れないようにしていました。中国は大国ですからその日杭州でミーティングをして次の日には北京という場合普通夜の便で北京に行きますが、こんな場合最悪北京のホテルに到着(大体夜中11時過ぎ)まで朝から何も食べれないということにもなりえます。中国人の同僚たちはそれでも平気なのには驚くばかりです。私は空腹がひどくなると頭痛が襲ってくることがあり大変な状態になりますが、同僚もそのことは知っており、彼らはホテルに到着するまえに私に夕食の手配をしておいてくれるのでどんなに遅くとも夕食を食べていました。

これほどまでに日本と中国違いますが私は仕事では中国に行くことがすきでした。とにかく”来てくれて何かためになる情報、技術を話してくれて感謝する”と言ってくれるからです。そしてそれにたいしてできる限りの好意で彼らも返してくれる。お客を紹介ししかもそのコンタクトまで取ってくれるわけですがこれは小さな会社にとどまらず大きな会社でも一緒。それだけに中国に出張するまでにはこちらも十分に情報を仕入れていこうという気持ちになります。商談に結び付きますからね。

台湾も似ていますが台湾の人はそれに加え親切。ミーティングが長引いたときなど、休み時間にカフェなどに行って飲み物を買ってきてくれる。それも得てして自分たち(そのミーティングで一番偉い人)のポケットマネー。お茶を出してくれることもあり会社の経費では落とせないんだと台湾にいた同僚が言ってました。こういった好意をしてくれた時はもうほぼ間違いなく商談にまでこぎつけましたがこちらもやはり出張までにはずいぶん頑張りました。

習慣の違い、国民性の違いと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが”学べるときに学ぼう”というのは私のような昭和世代は普通なことだったなあと、気質が変わったのかな。でもこういったことを見ていても昨今の中国、台湾の躍進と日本の停滞を思わずにはおれないのです。

写真は中国は成都の旧市街地で。 ここは日本では三国志とパンダセンターで知られのですが上海などとくらべ物価は安く最近は若いエンジニアのリターンもありテクノロジーの会社も林立しています。とても良い街で食事もおいしい。 辛いですがね。四川料理の本場ですから。

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 火鍋

シリコン ソフトウエア データ


80年代終わりごろまで世の中の大企業は日本もアメリカも垂直統合型の企業でした。日本では三菱、NECはじめ巨大企業が企業群(グループ)をなしていましたしIBMをはじめとした世界の巨大企業もみな垂直統合型でありました。90年代にはいり垂直統合から水平分業に急速にシフトが進んでいきました。そんな中で生まれた新しい企業には

マイクロソフト(ソフトウエア)、 Qualcomm, nVidia(ファブレスチップメーカー)、TSMC (シリコンファウンダリ)、 Synopsys (EDAベンダー)、FOXCON(製造請負企業)など数々の現在の巨大企業があります。日本はこの波にうまく乗れなかった。結果として企業規模が小さくなりましたが同時に水平型企業の勃興も発生しなかった。

”Japan As Number One”という本まで出版された80年代の日本の姿を今は見ることができないのはこの転換期にうまく乗れなかったことが大きな要因だと言い切れると思う。自動車産業はそれでもこれまでのところ時代を生き延びてシェアをのばしてきていますがそれにも限りが見え始めた。

さて、今現在世界の巨大企業は?というと、ひところのGM, IBM、GE、NEC, 三菱を挙げる人は少数だと思われる。Apple, Microsoft, Google, Facebook, Alibaba, Tencentなどが先にあげられるのではないか? これらの企業に共通するのが題材とした、シリコン、ソフトウエアそしてデータ。 これら以外でもTeslaも立派にシリコン、ソフトエアそしてデータを企業戦略の中心にしている。

シリコンとはチップをさします。これらの会社すべてコアとなるチップは内製もしくは内製にむけて巨額投資をしている。投資額は数千億円になり日本の企業がもう太刀打ちできない規模となっている。これまでQualcomm等チップベンダーやIntelなどから調達してきたシリコンに戦略的を見出し自社開発に大きく舵をきったわけです。AppleはMACまで自社のCPUを搭載するとNewsに出ていたくらいです。

ソフトに関しては元々がソフトウエアの会社である場合が多いがAIを筆頭として開発の手を緩めない、開発はすべて自社で行い外注することはありません。

それに加え今はデータが新たな石油(金)になっている。データという油田を持つことがシリコン開発、ソフトウエア開発に必要な資金を提供しているわけです。またデータソフトウエア、シリコンの性能を左右するにまで至っている。

先ごろ”教養としての投資”という書籍を読みました。かなり良い本で若い人にはぜひとも読んでいただきたい。とてもよくポイントをついてあるのですが著者の意見としてFacebookはあまり価値がないという記述を見つけました。ソーシャルメディアのプラットフォームとして以前あった(?)ミクシーとの比較でそのように書いておられたわけですが、FBを単なるソーシャルメディアのプラットフォームとみるのは間違っていると思います。FBはデータとソフトウエアの会社でありその成果物のひとつとしてフェースブック, インスタグラム、ワッツアップがあるわけです。データを基にしたADはマーケティング、セールスとして非常に効率、効果が高いです。それがサービス(製品)であり利益を生み出しています。利益から得られたお金を今大量に投資している先はシリコンになります。データを処理するには有能なソフトウエアが必要でそのソフトウエアをいかに効率よく実行するかの鍵はシリコンにあるのです。この3つは互いに切っても切れない形で関連しており水平分業が成り立たなくなっているわけです。

資金源となるデータを日夜集め続けそれをソフトウエアでちょうど石油からガソリン、プラスチック等を生み出すように新たなサービス、新たなアプリを生み出し、そしてそのソフトウエアの実行環境(チップと言っておきます)を自分たちで作り上げようというのがこれら巨大企業の現在の戦略になります。

自動車にもその転機が訪れていると思います。そのもっともたるのがテスラです。テスラを単にEVの会社だと理解していると間違いになると思います。 かれらの本当のバリューは彼らが集め解析している膨大なデータだと思うのです。自動運転に向けてGOOGLEも含めてしのぎを挙げていますがテスラはすでに何10万台もの車が実際のオーナーが運転して市街地、高速道路を走っています。そして毎晩走行の記録がテスラ社のサーバーに吸い上げられそのデータが解析されソフトウエア、アルゴリズムの改良に使われ続けるわけです。こんなデータをもつ自動車会社、日本にはないですね。トヨタがどんなにがんばってもテスラの持つデータを持つまでにはもう何年もかかるのではないでしょうか? データに価値があるわけです。テスラはそのデータいずれ売り物にできるかもしれない。ライセンス料を取ってね。しかも車の場合、地域、国民性とうで自動化運転のアルゴリズム、設定等の細かなチューニングは必ずや必要となる。ハードが仮に作れたとしてもそれだけでは自動化運転には程遠い。ソフトが仮にできたとしてもそれでも飛行機やロケットとことなり人間社会というもっとも複雑で数式で表せない場面適合させるにはデータに基づく学習がぜひとも欠かせない。 テスラではそれに加え、戦略的に重要なシリコン内部で設計もしている。じつにシリコン、ソフトウエア、データ な会社です。

日本はこのシリコン、ソフトウエア、データというこれからの重要テクノロジーにまたしても乗り遅れようとしている。自動車産業も安泰ではなくなっている。エンジン開発はノウハウのかたまりで欧米と日本がほぼ独占してきたが電気、そしてデジタル化が新たな挑戦者を生み出した。中国、USAではそれらの挑戦者が既存の車会社にたいして優位に立とうとまでしている。

シリコン、ソフトウエア、 データ。

教養としての投資という本はとても良い本です。若い人はぜひとも早いうちに読んでおくとよいです。読むだけじゃなく実行も。

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