在宅勤務と言語


COVID19が猛威をふるい世界中在宅勤務が普通にみられる昨今です。日本のニュースをブログやその他の媒体で見ても在宅勤務の話題をよく見かけます。 さてこの在宅勤務ですが仕事効率が上がったという記事やこれからは在宅勤務を通常勤務の形態にすることを検討するというような記事に出会うこともあります。 効率が上がった? 本当かな?と思います。上がったように錯覚しているだけなのでは?と思うこともあります。私や私の周り(現在の会社や以前の会社)での経験はほぼ効率が下がっています。 実際GOOGLE含めシリコンバレーの会社ではいかにして従業員をオフィスに早く戻せるかとあれこれ検討しているようです。 わたしもAAFGMの一角になる会社に現在勤めていますがある種のグループはすでにオフィスに戻る準備ができ早々にもオフィスに戻るようです。以前も書きましたが私自身の経験として、どんなにテクノロジーが発達しても人間は実際に交わらないとイノベーションは起こらないしセールス、マーケティングもうまく行きません。オンラインシショップの雄アマゾンが書店を次々とオープンしWhole Foodsというオーガニック食品等を多くそろえるスーパーマーケットを買収しかつ無人のスーパーを実験的にオープンしているのはどうしてでしょう?考えてみるとよいかと思います。 

仕事の効率が上がったとするなら、たぶんにそれはこれまであまりに無駄が多かったのでしょう、通勤時間も含めて。アメリカは通勤は楽だろうと良く言われるのですがシリコンバレーを取り上げても住宅事情からいまでは片道1時間以上の通勤はごく普通です。私はずいぶん以前に家を買ったので通勤はこれまでどの会社でも20分程度と非常に恵まれた地に居住しますがそういった地域は住宅の開発がもう終わっておりどんどん郊外へと住宅地域が広がっています。私の会社はそういった地域に住む従業員のために通勤バスを運行していますがバス内では仕事をする環境が整っています。悪い言い方をするなら通勤中も仕事をさせるのか?となるのですがそんなバスで通勤する同僚曰く、朝のメイルはバス内で全部処理が終わるからオフィスに着いたら朝ごはんを食べてすぐその日の仕事にかかれると。そうそう、バスの運行は午前早い時間からはじまるので会社に着くと朝食を食べるようです。私も時折食べましたがFreeにしてはとても充実しています。 あ、ちなみにCupertinoに本社のあるA社は食事はFreeではないですよ。 つまり私はその会社では働いていない。。。

経験上言えるのは効率が下がる一番の要因はVC (Video Conference)。 便利なようですが基本的に常に1対多のコミュニケーションになり皆が同時に参加できるということにはなりません。またどんなにパワーポイントやその他のツールが発達しても人間最後は紙と鉛筆(ホワイトボード)な生き物でアイデアなどをさささと書いてそれをもとにみなで検討するということがVCではまだまだ効率よくできない。少人数時として1対1でVCをしてそれから大人数に上げていくといったやり方を取ったこともありますが結局全然うまくいかずでした。

つまるところ人は会わなくてはいけないんだと再確認できた次第です。毎年何度も顧客先に出向いていたのも会うことで関係を深めるためでしたし、もう私には縁のないことですが若い人がデートするのもその理由 バーチャル(チャットなど)のカップルというのを聞いたことがありますが私にはまったくピンとこない。 

そんな中、だれが始めたか知りませんがこれまでのGlobal化に反動するように世界が内向きに内向きにと進んでいるように思います。現在のUSの政治リーダーは元々が不動産業とテレビのタレントだった人物で全く政治信条も何もなく、猜疑心強く、好き嫌いだけで国を動かそうとするのでどんどん内向きに進んでいる。もっともSアメリカ人は元々内向きなのです。いわゆる両海岸(カリフォルニアとニューヨークなど)は例外だといえるのです。移民が多いからなのと海があるからだと思いますがいわゆるアメリカ人は生涯を自分の生まれた地から半径100KM程度を全生活圏としてその範囲内で人生を終えると聞いたことがあります。 ラスベガスに行ったことがありますか? ラスベガスのホテルは世界中の観光地の模型になっているようなホテルが沢山あります。 ベニス、パリのエッフェル塔、エジプトのピラミッド、ローマなどなど。ラスベガスはそんなアメリカ人が多く休暇(一生で一度切りなことも多いです)で訪れるところでいわばそういったホテルに宿泊することでなんだか世界の観光地に行った気持ちになるんだそうです。ベネチアンというホテルではホテル内で本物のベニスにあるゴンドラに乗船することができます。実際のベニスとは全く違うのですが雰囲気は楽しめるのですね。 パスポートを持たずして海外に行った気持ちになるのでしょうか? しかも英語がどこでも通じますからね。

英語と書きましたがアメリカ人が行きたい海外となるとトップはすべて英語圏だったいう記事を読んだこともあります。カナダ、UKを筆頭にオーストラリア、ニュージーランド。。。 アメリカ人はあまり外国語が得意ではないのです, これはヨーロッパ諸国の人とアメリカ人を比較して非常に異なる点です。 とにかく英語が通じないとイライラするか不安になるようです。 COVID19で何かと話題になったクルーズ船,アメリカ人が好きな理由の一つがそんなイライラや不安と付き合わずに済むからだと聞いたことがあります。日本にはアメリカ人はたくさん来ていると思うでしょうがどの州から来ているのかまで統計をとると色々と新しいことがわかるかもしれません。

英語は確かに世界で一番広く通じる言語だとは思いますが人を知るには現地の言語を知ることも重要になってきます。 その中でもいまなら中国語がビジネスという点では一番重要になるでしょうか? 中国と台湾だけじゃないか、となるのですが中国はどんなにアメリカの政治家がもくろんでもいずれ経済力ではアメリカを凌駕します。人口と人々の働き度を見るからそれを止めることはできないでしょう。経済力は軍事力よりはるかに強大です。ミサイルは破壊はできても創造はできないですからね。経済力は創造を産み続けることができますから経済力はとても重要です。

何が言いたいかというと言語を学ぶのはとても大切だということです。 英語、中国語そしてできればスペイン語も。 ご存じかどうか日本語を知っているのだから実は中国語は取り組みやすいです。発音に癖がありますが単語がとても似ているし中国の漢字は日本とことなり一つの字に一つの音なのでいったん字の音を覚えると(これも日本語と似ている)ずいぶんと早く話すことができるようになります。読むことは漢字を知っているわけですからそれほど大変ではない。中国は簡素化をはかり少し厄介な字もありますが台湾は昔ながらの字を使っています。実際台湾発行の新聞、日本人なら60%くらい読めますよ。書くのも高校で習った漢文の文法(文法的には中国語は英語に近い)に倣って書くと大抵のことは通じます。最初はとっつきにくいように思えた中国語が日本人には意外と近い言葉なのに驚きましたから。 スペイン語はUS生活ではある程度必要になります。とくにカリフォルニアなどいわゆる中南米からの移民が多く住む地域では。実はスペイン語、発音的には日本人にはとても取りつきやすい言語ですよ。アルファベットをそのまま発音します。 英語はスペルと発音がずいぶんことなりやっかいなのですよ。 英語を知ると似たような単語が沢山スペイン語にもありますから覚えも早い。そんなこんなで言語を増やしていけるのですよ。言語って全く違う言葉もありますが似ている言葉もたくさんあるので一つ知ったらそれを足掛かりに少しずつ増やせるんです。しかもどんなに年齢がいっても新しい言葉を学ぶことはできますよ。私は中国語は55歳を過ぎて始めましたよ。 (もう還暦が足元にまで来ている)。

仕事となると当面の間英語がもっとも重要なままでしょう。わけても読む力と書く力をつけることが大事で非常に極端にいうと英会話は仕事ではそんなに重要ではないです、日本に居住するなら。 日本では読めると勘違いしている人が多いと思いますよ。ドキュメントを読むのに一か月もかかっていたり翻訳をしながら読んでいるのでは仕事にはなりません。書くこともできる、自分は話すことと聞くことができないとは未だに聞く話ですが、書くことが一番難しいんですよ。大人が幼児や小学生程度のことを書いても書けるとは言いません。使う単語一つとっても話すときに使う単語(インフォーマルなことが多い)と書くとき(フォーマルな場合が多い)ではずいぶん異なります。これはアメリカ人にとっても同じことで日本人に限った話ではないです。USの大学でエッセイ(英語)のクラスを取るとこのことがよくわかります。とにかくビジネスでは書くことが一番難しいです。仕事で実際に話す,聞くという機会は日本にいればそんなに多くないと思いますがグローバル化が進んでいる現在、英語を読む、書く機会は増えていると思います。 書籍にしても日本はできるかぎり早く翻訳が出版される国ですが原本(英語が多い)のほうが圧倒的に早く出版されているわけですから原本を読めばそれだけ先を行くことができます。 ざんねんながら自動翻訳はまだまだ幼児レベルで実際の使用に耐えうるものではありません。

人と接する仕事をする、海外に行くという目的、予定が無いのであれば私は英会話に時間とお金をかけるより読み書きにその時間とお金をかけるほうがきっと仕事で役立つと思います。もっとも人と接する、海外を視野に入れるのであれば時間やお金のかけ方は変わると思いますよ。

相変わらず堅い話でした。 

表題の写真はNYCにあるアマゾンの書店。 こちらサンノゼにもありますよ。アマゾンで買ったものを返すこともできます。

下の写真はテルアビブの海岸。警告がいろんな言語で記述されていますね。

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テルアビブの海岸

やる気が一番大事

タイトルを見るといかにも昭和世代なおやじの言葉ですね。若い人になるともう昭和世代が周りにいないのではないと思いますので聞いたこともないような言葉でしょうか?

でも時代は変わってもやる気が一番大事なのは変わらない不変な真実だと思います。真実とまで書くと語弊がありそうなので私自身の経験から得たこれまでの事実に近いものだという程度にとらえてください。

私は片頭痛持ちで週に二日ほどダウンする生活をこの15年ほど続けています。そんな中出張が多い生活だったので飛行機の中やホテルの部屋でも片頭痛にバッタバッタしてきました(もっとも最後の7年ほどは特効薬を知りおかげで人生がずいぶんと明るくなりました。)頭痛中は全くやる気がでない。やる気が出ないとはこのことか~とまさしく痛感するわけです。以前もう10年以上も前に読んだ京セラを創業された稲森和夫さんの著書 生き方 に松下幸之助さんの言葉として ”ダムを造ろうと思わないといけませんな”というのがあります。詳しくはこの著書を読んでいただきたいですがダム(お客様としておきましょう)が欲しいとなったらそれを作ろうと思わないかぎり作れないというしごく真っ当なことをいっておられるだけなのです。 

”無理” という言葉を最近よく聞くようになりました。 XXXXがないから無理  XXXXにはお金、資格、学歴、など色々な言葉が入ると思いますがほとんどは言い訳に近いのではないか? 唯一言えるなら やる気 でしょうか?やる気がないから無理 となればこれは致し方ない。 やる気が大事

今はコンピュータが発達し普通にIPHONEなどを子供も使っています。でもね、人類が初めて月面に降り立った時、宇宙船にはまともなコンピュータはなかったのですよ。それでも月にいこう、その月に行こうというやる気がアメリカ人をして月面まで到達させた。いっぽうやる気が全くないのに国策でベトナムまで行って戦争をしましたが超大国にも関わらずベトナム戦勝ではアメリカは敗戦国(そうは言っていませんが事実は敗北です)になった。国民に全くやる気がなかったんですね。

なんでこんなことを書いているかというと、このブログは昭和世代のシリコンバレーに来て人生の半分以上をエンジニアリングの世界で過ごしている頑固親父の勝手な書き物ですが日本に再び大きなやる気という木を植えたいなと密かに思うからです。

ではやる気だけで本当に’人生変わるんだろうか? 人生はセールスだと先のブログに書きました。人生どこかの段階でセールスな機会がきっと訪れます。私はもう還暦がすぐそこですが今でも懸命に自分をセールスしています。若い人、私が男だから言いますが意中の女性がいたら一所懸命セールスされると良いと思いますよ。かく言う私はあまりしてこなかった。。。セールスの極意は?私は仕事としてセールスをやった経験はないですがマーケティングとしてずっとセールスを担当する同僚と仕事を共にしてきましたがスーパーセールスと辞めていくセールスの違いはというと変な話ですがスーパーセールスはおそらく薔薇を育てる技量も優れているんだろうなと思わせます。

薔薇を育てたことがありますか? 私は趣味とまでは行きませんが庭に何本も薔薇を育てています。薔薇は挿し木もできるので気にいった薔薇ができると挿し木をしてその花を増やしてもいけるのです。そんな薔薇ですが手入れがとても大変ですし、すぐに拗ねる。水を定期的に十分挙げて土壌管理もきちっとすると見事な美しい花を咲かせてこちらの行為に好意を見せてくれますが手入れを忘れてしまうとその後いくら水をあげて手入れをはじめてもおいそれとは花を咲かせてくれません。それをあきらめずに お前は大事なんだよ、と頑張るとようやく拗ねるのをやめて再び花を咲かせてくれますが頑固な薔薇になると一年くらいは平気でこちらを待たせるからたまったものではない。

セールスも同じかな。 顧客を滞りなくケアし、かりに顧客を他社に取られてもそれにもめげずしっかりフォローを継続する、その辛抱強さがある人がセールスとして成功しているように思います。やる気ですね。

また書籍を上げますが以前よんだ本 The 80/20 Principle (これは日本語訳もでています)の中に昔の軍人政治家(だったと思う)の言葉として 優秀なとても働き者は雇って十分働かせてそれに報いなさい、 能力のない怠け者はもう組織にいたらそのままにしておきなさい(害がないから)。優秀でかつ怠け者なのは昇進させてリーダーに抜擢しなさい。能力のない働き者は直ちに解雇しなさい。とこれが組織を有能にして大きくする秘訣だ、 というくだりがありました。やる気が十分にあってもその組織内では無能ということも多々あります。他の組織だったら十分有能なんだけどな~と思うんですがなぜかその組織内にずっといる。そしてやる気は十分あるのでとても働き者なのです。これはその人にも組織にも報いがないケースになってしまいますね。 自分が能力を発揮できそうな場を探すこともですから必要になります。 その場合得てして失敗するのが自己判断をすること。自分はXXXが好きだから、XXXが得意だ。確かに好き嫌いはあるかと思いますが得意、不得意は実は自分の思い込みであることもとても多いのです。日本ではあまり人生、仕事、学業等でコーチをつけることがないかと思いますがコーチを見つけて客観的に見てもらいアドバイスを受けるのも実は必要になると思います。会社の上司、友達、家族というのもありますが自分に近すぎない人のアドバイスというのも人生必要な時が出てくると思います。やる気を継続するためにも。私はこれまで8度転職しています。 こんな歳になってもまだ転職しているわけでそれはカルチャーが違うから。。。なのかもしれませんがすべてにおいて優秀な人というのは実はいないものです(はたから見るとそう見える人はいますが)。自分が優秀になれる場にうまく移っていっているんだと思うのです。そこで働き者としてやる気をだすのか、怠け者としてやる気を出すのかそれはそのひとの好きだと思いますが自分が優秀になれる場に移っていけるともっと成功(幸せ)になると思いますよ。 私はずっと開発エンジニアでしたがセールスが誘ってくれてアプリケーションに移り、ほぼ勝手な形でCEO (社長)が私をマーケティングに転部させたりしたのですが実は移る度にやる気が増えたのを実感しています。その時はそこが自分にとって一番優秀にできる場だったのでしょうね。開発エンジニアは好きだったし得意だと自分では思っていましたよ。

今はまた開発エンジニアに戻っていますがこれも誘われたからで、入ってみると自分が活躍できるちょうどその場で職歴の最後を飾るにはとてもふさわしいかなと誘ってくれた同僚には感謝しています。

写真は薔薇です。

80/20 日本語でもでも沢山出てますよ。マンガ本にもなっていました。 

www.amazon.co.jp

今の人には古臭いかもしれませんが稲盛さんの生き方という著書はご本人の人生からの経験をつづっておられ一度読む機会があってもよいと思います。アマゾン、電子本でしか無いようですね。地球環境を考えるとキンドルのような電子書が良いのですが私は良書は紙の書を揃えています。紙の書を読むほうが頭に入ってきやすいからですが自分なりのコメントなども簡単に書けますから。2度目読んだときに前回読んだときはそんなことを考えていたんだと驚くこともありますよ。

Amazon.co.jp: 生き方 eBook: 稲盛 和夫: Kindleストア

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薔薇

テルアビブ

ハイテク(シリコンとソフトウエア)関連にずっと従事しているので出張は基本的にテクノロジー産業のある地域となります。これまでに訪れたところにはもちろんイスラエルもあります。中東諸国のひとつですから宗教が国家、日々の生活にとても深く入り込んでいます。イスラエルでは土曜日は電車、バスといった公共交通機関はストップします。土曜が安息日だからです。タクシーは動いているし空港も開いており飛行機の発着はもちろん通常通りですが電車、バスは動いていない。。。 土曜日が休みで日曜日は通常通り会社も学校もやっています。金曜日がやすみだったかな?ちょっと記憶があやふやですが私はいつも金曜日の夕刻に到着する便でイスラエルに行っておりました。土曜日を休みにして(観光する)日曜日から働くためですが、金曜日の夜に到着するということは、ご存じの方もあるかと思いますがユダヤ人は金曜の日没から土曜の日没まで火を使いません。つまりホテルにチェックインしても食べることができるのはサラダとかコールドサンド程度になってしまいます。もちろん土曜の朝食も全く期待することはできません。 が、困るか?というと全くなんですよ。

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テルアビブの海岸で夕食

というのはユダヤ教は土曜日が安息日ですが、キリスト教徒は日曜日そしてイスラムは金曜日

つまりイスラム系かキリスト系のレストランに行けば金曜でも土曜でも食事ができるんです。よく考えたものですね。でも国全体としてはユダヤ教にのっとるようで電車、バスは止まるんですね。

さてそんなイスラエルですがご存じかとは思いますがハイテク産業も盛んです。USAの大会社、例えばIntelですがハイファ等に大きなビルをもっています。ハイファはハイテク産業の地でその一帯にはUSのよく知られた会社が軒並みビルを構えています。その一帯にある顧客を訪問するだけで2,3日はかかります。USAとイスラエルの結びつきを考えるとUS系の企業が多いのはわかりますがイスラエルにも中国系企業は進出していますよ。この場合買収に伴うケースが主だと思います。

買収と書きましたがイスラエルの企業は多くの場合資金源に限りがあります。イスラエルの企業とここで言っているのはイスラエルに本社、いやイスラエル人が始めた企業という意味です。ほとんどがいわゆるベンチャーになるのですがシリコンバレーとはことなり資金が潤沢にあることはまれです。またイスラエルの証券取引所はUSAにあるナスダック等と比較できるわけもないですからこれらの会社は設立当初からIPOを目指しているわけでもありません。彼らの目標は彼らのアイデアをプロトタイプまで完成させてお客に売り込む(最終製品化のための資金を得るため)もしくは大会社に会社そのものを売り込む(吸収合併)です。資金が底をつく前にプロトタイプを完成させる必要があるため一日13,14時間は働くというのは全く普通です。土曜が安息日なのは国のことであって彼ら自身が安息にしているわけではなくなんらかの形で働いているので週7日働いていることになります。私は日本人は働きすぎだということを聞くたびに”本当かな?”と疑っています。私自身を考えてももっと働いている。私は平均して週60時間程度(土、日も結局働いている)は働いています。一日平均11時間程度、シリコンバレーでは普通なことです。アメリカは有給になるいわゆる祝日は高々10日です。日本は祝日は基本休みですがUSAは国の休みと企業の休みは一致しません。バケーションで1か月も休んでいるだろうと思うかもしれませんがそれはEU諸国のことであり私の周りでの夏の平均休暇は一週間ていど(つまり5日)です。今年はCOVID19もあり私の同僚は上司も含め誰一人休暇を取っていないのでいわば働きづめ。中国やイスラエルはもっと働くといって過言ではありません。

そんなイスラエルですから顧客からよくお願いされたのが”出来高”支払い契約です。契約上は最初の支払いが極端に少ないが製品としてはフル装備の提供を求められる。成功したらプレミアムを付けて残りを支払う、という契約です。 製品の割引後の価格が3千万円として最初の支払いは300万円程度くらいです。プレミアムとして10%つけるとして成功すれば300万円多くなりますが最初の支払いが極端に少ないのがリスクになります。現地にいる同僚はそれでも契約を取ろうとします。そこで私が出かけて行ったわけです。私の出張目的はその顧客を技術的に評価することでした。技術そのものとエンジニアの技量を評価するのです。ほとんどただで製品を提供するわけなのでこちらも賭けになりますからね。結果ミーティングは時には数日になることもあります。実際ある会社ではミーティングの半分くらいはラボで一緒になってソフトウエア開発をした経験もあります。プロトタイプが置いてあるのですがソフトの開発途中でその技術がどの程度のものか判断するには実機を稼働させる以外に方法がなく(パワーポイントの資料なんて誰でも作れますからね)開発を手伝ったわけです。その会社とは契約をしました。その後軍事予算をもらえたということでプレミアムを付けての支払いにまで至ったのでこれは成功例でうまくいかない例のほうが圧倒的に多かった。こんなスタートアップを中国の企業がいくつも買収しています。そのいくつかの企業にも行きましたが買収後中国からたくさんのエンジニアとマネージメントを送り込みオフィスもすっかり中国色を深めていましたがコアとなる元ののエンジニアはそのまま在籍して製品の最終設計をやっていました。最終設計が終わったら退社してまた新しい会社を作ると言っておりました。 最終製品を関せさせるまで在籍することが条件で買収されたので辞めれない。その買収資金で次の会社を興す予定だということでした。

さて振り返って日本ですが実はスタートアップと言われる企業を訪れた経験は一度もありません。そんな会社がないのかな~と思っていたのですが日本にいる同僚に聞いてみると彼らはそういった会社にあまり行きたがらない。どちらかというと大会社かもしくは国家予算がついているような会社を優先したいということで、限られた時間をかけるのならそんな会社となるようなのです。 スタートアップ企業がないわけではなく。これはしかしもったいない、双方にとって。まず顧客サイドのたつと、言ってみれば相手にされていないということになりますがそうだな、例えて言えばビルを建設するのに大きなクレーン車を使うことができず小さなクレーン車で頑張っている(でも小さなクレーン車だけでは大きなビルを作るのは時間がかかる)。結果、せっかくのアイデアがタイムリーに実を結ばず、あとから出てきた同じようなアイデアを考え出したUSA、’中国の会社の後塵を踏む結果となる。ベンダー(私の立場)で見るといわゆる将来有望なお客を失う結果となりうる。実際USAではサンディエゴにあるとても小さな会社と取引したことがあります。最初の取引は200万円程度だったのですがその時担当だったセールスがこの会社は絶対成功するとかなり無理な取引を強引にねじ込んだのですが(割引率90%だった)、今その会社はナスダックに上場しており毎年数千万円の契約を継続しています。くだんのセールスにとってはもう計算できる顧客になっているんですね。 

ところでコーシャという言葉聞いたことがありますか? ユダヤ系の人がとても気にすることなのですが料理、食材に関するある種の規定とでも思えば良いのでしょうが、塩ひとつとってもそれがコーシャに準ずるかどうかが問題になることがあります。アメリカで食品を購入する際ラベルを見るとコーシャに準ずるとかコーシャに準じたことを示したマークを見つけることができます。ずっとはるか以前ユダヤ人の同僚(当時彼は私の部下でした)と日本出張をしたことがありますが彼はコーシャに準じた食事しかしないことが東京について知り、本当奔走しました。日本であの当時コーシャなんて言っても誰もわからなかった。説明してくれましたがそれでもあまりよくわかりませんでしたが確か明治屋だったと思いますがそこに連れて行っていわゆる輸入品のコーナーで色々と二人でみるとコーシャとかそのシンボル(丸にU)を見つけそれがついているポテトチップなどを幾つかかった。 普通のレストランでは切っていない丸っこのトマトを3,4個だしてもらったような経験もあります。ベジタリアンなんですか?と質問を受けたように記憶しますがトマトをコーシャに乗っ取らないまな板、包丁で切ってしまうともうコーシャでなるなるので単に水であらっておさらに盛ってもらう以外なかったのです。それに明治屋でかったコーシャの塩を振りかけて食べていました。今は東京あたりだとコーシャ料理をだすようなレストランがあるのかもしれないですが調べてはいません。先ほど安息日と書きましたが彼は金曜の日没から土曜の日没までたとえ働くにしても家にいるというのを守っていたのですがこちらの手違いで帰国のフライトが金曜日になりすったもんだした経験もあります。USAに向かうフライトは普通夕方に成田を出るんです。間違いの発端は彼はどうしてもサンフランシスコに金曜日の午前中に着きたいと言っていたのです。理由はそうすることで日没までに自宅に戻れるからです。 そこを強調していたのでそれに向けてフライトを手配してあったのですが時差があるでしょう?そうするには日本を金曜に出ることになるのですが午後遅くだったわけです。どう解決したか? 直行便をあきらめさせました。木曜真夜中(木曜日の予定をこなしてそれから空港に行く)に飛び経由先を経てサンフランシスコに金曜の午前遅くに到着するように組みなおしたのですがキャンセルの効かないチケットで片道というのは実はとても高くつくのですがチケットを買いなおしてとかなりすったもんだしました。がちがちのユダヤ教徒だな~と思われるかもしれませんが全然普通なエンジニアでしたが自分が守ることは守るというそれだけなんだと言っておりました。ちなみに今でも良き友人でテルアビブに帰ってしましましたが私がイスラエルに行った折には夕食を共にしています。コーシャの問題はないなというといつも苦笑いをしていますがあの件ではずいぶんとこちらも学びました。 どんなにグローバル化が進もうとも歴史を積みかさせねてきた社会習慣などはそんな簡単に均一になるものではないということを。

写真はテルアビブです。地中海の水はとても暖かでヨーロッパじゅうから観光客が集まってくると聞きました。市の中心はモダンです。顧客のオフィスからの展望はとても良かった。

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テルアビブ 地中海
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テルアビブ市街

Brno (Czech)


元上司がちぇこに本社をもつベンチャー企業にExecutive、そしてボードメンバーとして参加した経緯上一年間ほどその会社でアドバイザー兼マーケティングエンジニアとして働いたことがあります。チェコはいわゆる旧ソ連ブロック(東欧)の国の一つです。 ソ連とか言ってももう若い世代には死語になっているかもしれないですね。 関連する言葉として

ーココム

ー冷戦

ーワルシャワ条約機構

なんて言葉がありますが聞いたことがあるでしょうか? 

チェコはヨーロッパの小さな国です。その経緯上いわばずっと占領に近い歴史でした。例えば

ーオーストリア帝国

ードイツ第三帝国

ーソビエト プラハの春って聞いたことがありますかね?

しかしながら王国でもあったわけでプラハにはそれは壮大で美しい王宮が残っています。とても広い。確か記憶が正しければヨーロッパで一番大きな宮殿なはずです。

いわゆるソビエト崩壊に伴いソビエトから独立(別にソ連邦の一部じゃなかったのですが)。当時はチェコスロバキアと言っていましたがチェコとスロバキアに分離しました。

チェコは東欧諸国はエンジニアリング、数学の教育が冷戦時代を通じて盛んだったこともあり実は優秀なエンジニアがたくさんいます。 第2のとしBrnoは大学町です。実際私が手伝った会社もBrno地域にあります。歴史はとても古い街ですが住人の年齢層はとても若い。市街地を歩いても学生が大半です。Brnoにはチェコとスロバキアに分離した歴史的な調印をした建物もありますよ。

優秀なエンジニアを格安に雇えるというわけで今USAの会社がBrno近郊にたくさん進出しています。例えばIBM (Red Hat Linux)など。実は中国の会社もたくさん進出しているんですよ。中国はエンジニアの人件費は高いです。実際日本の倍はします。これはあまり知られていないかもしれませんね。中国は人件費が格安だと信じられているようですがエンジニアに関して言うなら日本のほうが圧倒的に格安ですよ。実際上海、北京で経験豊富なエンジニアを雇うには今では日本円で1000万円ていど必要です。同じポジション東京なら600万円程度です。日本では格安にエンジニアが雇えるんですよ。もっとエンジニアリングの会社が日本に進出してもおかしくないのですが、それでもあまり日本に進出していきません。色々な理由があるのでいずれまとめてみたいと思いますが私などの目から見るともったいないなと思います。

ちなみにチェコなら300万円くらいで雇うことができるんです。だから中国、アメリカの企業が進出しています。もちろんEUメンバーですから他のヨーロッパ諸国の会社も進出していますよ。

エンジニアは優秀で賃金的にも非常に競争力があるのでチェコはこれからも発展していくと思いますが、いかんせん、長い間占領されつつけてきた結果でしょうか、猜疑心がとても強く自国民以外基本的に信用しません。そして自国民の同僚をとにかく守ろうとします、失敗を隠してまで。歴史を知るとそれは理解できることなのですがいざ会社経営、会社関連となるとしばしば問題を起こします。 とにかく何もしゃべりません、最後の最後になるまで。頑張って製品の契約を取り付けたところ実は製品ドキュメントは単に将来のプラン(つまり今はない)だったり。もちろん契約は破棄になるし違約問題にまで発展してしまいます。契約がとれたら作るつもりだったと。。。 

こういった国民性をよく理解しておくことは必要になるとおもいます。 どんなにInternetが発達しても国民性、社会習慣、カルチャー、といった人間生活に深く根差したことは実際に経験するまで肌で理解できるとは思えません。 昔は座学、実学とか言って学校、セミナーで学ぶこととと現場で学ぶことを両立させて経験、知識をつけていったのですがInternet が発達しいわばバーチャルにいろいろとアクセスできますがぜひとも外にでて現場で色々と経験を積んでください。

表題の写真はBrnoの丘から見下ろしたBrnoの町。旧市街を外れるとどこにもあるようなビジネス地域があります。

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冬のBrno
ダウンタウンにあるピルスナーの店。ホテルにもなっていますが私はいわゆる現代風のホテルに宿泊しました。 International Hotelと言いますが目の前には丘があり登っていくと写真のような見晴らしのよい展望できるところも沢山あります。その丘のふもとには冷戦時代を象徴するように原子爆弾にも耐えることができるシェルターもあったそうですが今はパブに変わっていました。チェコ第2の都市ですがプラハと比較すると断然田舎です。

ペット


我が家には多くのペットがいます。 ウサギ2匹と犬一匹。 子供たちのペットという名目ですがメインの飼育係は私。飼育係というのは言ってみればトイレ掃除、餌と水の世話をするということなのですが水族館や動物園の生き物が観客より飼育係にずっとなつくようにうちもペットたちは飼育係になついています。

堅い話しかかかないこのブログですからペットの自慢とかを書くつもりでこのページを始めたのではないです。

20年も前のこと、もうそのころにはいわゆる経験15年の日本でいうと中堅どころのエンジニアになっていました。アメリカ生活も10年を過ぎていたころです。そのころ働いていた会社である機会があり上司と出張することになりました。仕事での出張は確かそれが初経験だっと思いますが夕食を共にしましたがその折、私に将来はどうするつもりだと質問を受けました。どう答えたか覚えていませんが彼がくれたadviceは今でも覚えています。それは人はみないずれセールスマンになるということです。企業のトップ、それがたとえエンジニア出身(例えばマイクロソフト)でも上に行けばセールスになる。社長までなれば会社それ自体をセールスすることになるが部課長レベルだと個々の製品。いやエンジニアでも自分のアイデアを社内セールスするようになる。だから、どんなキャリアを目指すかは個々あるだろうがどんなキャリアに進んでもセールスの経験、勉強はいずれ必要になる。早いうちに経験しておくと良い。といったような内容でした。自分はエンジニアリングに興味があるといったように返したと記憶していますがエンジニアリングを捨てろとか言っているわけではない、そのエンジニアリングの経験、知識だけではいずれ頭打ちがやってくる。実際彼の場合もっと早い時期でしたが学校にもどりMBA過程を修了していたのですが別にMBAをとれと言っているわけでもない。セールスのマインドを持っておけということだということだと。

その夕食後ほどなくして私はいわゆる開発エンジニアの部署からアプリケーションエンジニアリングの部署に転籍しました。たまたま欠員(辞めていったため)ができたので移れたわけですがそれ以降出張人生が始まった。アプリケーションエンジニアというのは製品を売るためのエンジニアです。顧客のシステムを直接見る機会、開発を手伝う機会に恵まれたので本当に良き勉強の場となりました。そうこうしているうちにCEO(小さな会社でしたので)が私を彼の意向で勝手に(?)マーkてぃんぐ部門に異動させていたのですがマーケティングというのはもうセールスするための部門。エンジニアとは言えもう開発からは程遠いところまで離れてしまいましたが、はっきり言うと開発エンジニアをしていたよりずっと面白かった。また経験と知識という点でももちろん開発のためのツールを使う技能は鈍ってきますが問題点を探り出す、解決策を導き出すといった技能は逆にもっとついたように思います。

今は再び開発エンジニアにもどりましたがマーケティングエンジニアから開発エンジニアに戻るにあたりやはり不安はありました。マーケティング部門でVPをしていた元上司に相談すると ”お前はAgile Engineer(臨機応変にできるエンジニアといった意味)でこれまで十分成功してきた。開発エンジニアの感は半年もあれば全部よみがえってくるから何も心配する必要はない”とコメントをくれました。確かに3か月もするともうすっかり開発エンジニアに戻っていましたらが彼の言う通りだったわけです。

さて、若い世代はこれからキャリアを積んでいくと思うのですが私が経験から言えることはキャリアを積む過程でいずれどこかのタイミングでなんらかの形でセールスになっていきます。それがいつのタイミングなのか人それぞれと思いますがそのタイミング(機会)がやってきたらぜひとも取ってみてほしい。自分は技術者だから。。。 といった理由で避けることがあるかもしれませんが人はみな自分を売っているのだということをお忘れなく。

ガールフレンドが欲しい --> 自分を意中の女性にセールスするわけですよ。

政治家になりたい --> 自分を売らなくて政治家になれません。

会社を大きくしたい --> まず自分を売るんです。それから会社、順序は大切です。

会社を興したい --> 自分を売るんです。アイデアじゃないですよ。

とまあ、人生は自分をセールスすることだと言えます。

そしてセールスを成功させるには 動物園の飼育係が動物たちに一番愛されるように関心をもち続けることです。 政治家になろうと思ったら政治に関心を持ち続ける。意中の女性がいたらどうします?関心を持ち続けるでしょう?

マーケティングやセールスが顧客訪問をするのも関心を持ちつづけるためです。よい関心を持ち続ける習慣を身に着けると良いなと思います。キーワードは”よい関心”です。英語でいうなら Positiveな関心で決してNegativeな関心でなく。 先のブログで中国についていくつか書きましたが昨今の日本語ブログやVideo Clipを見ているとNegativeな関心(悪口)がひどくて心配になります。

写真は家のペットがやってきたてのころの写真です。今はみな大きくなり”おとな”になっています。ペットは成長が早くあっという間に”おとな”になります。

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うさぎ

バンクーバー


堅い話ばかり書いていると誰も読んでくれないはよ、と忠告を受けているのでちょっとは柔らかい話を。。。 と言ってまだブログを始めたばかりで読者は一人もいません。宣伝もしていないのでいつ読者ができるかわかりませんが書き続けることにしよう。

柔らかい話。何がいいかなと思いましたが出張でこれまで訪れた町はいろいろありますが東京の次に好きな町はというと、カナダはバンクーバーになります。ここは休暇でも行っていますが私が住むサンフランシスコ周辺からは2時間でつくのと時差がないので旅も楽、そしてカナダ。カナダ人はアメリカ人とは全く別人と言っても過言でないくらい違っているように思う。同じ英語を使いますがどちらかというと単語は米語より英語でしょうか? 例えばトイレ、Wash Room。アメリカではあまり使いません。

いつ行っても良いですよ。とてもきれいな街で趣があります。引退したらバンクーバーに行ってもいいし、もし仮に2020年の大統領選挙で今の大統領が再選されたらすぐに移ってもよい。日本でどう思われているか知りませんが尊敬できる人ではない。リーダーはまず人として尊敬されるべきだと思います。

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バクーバー

柔らかくするんだと言っておいてなのですが、カナダにもハイテク産業はあります。メープルシロップと観光だけの国ではないということですがあまり話題になるようなことはありません。バンクーバー、トロント、モントリオールが拠点かなと思いますが私のカナダ出張はバンクーバーが一番多く、続いてトロントとオタワでした。冬のオタワとトロントはそれは寒くて雪景色だけでしたがバンクーバーはいつ行ってもよかった。20年前ほどまではカナダ政府、ブリティッシュコロンビア州政府が色々なハイテク関連の集まりにブースを出して人材を求めていたように思います。いわくUSAの永住権があればカナダ政府もすぐに永住権を出すとかいったように。今は現在2020年初夏のアメリカ政府を見るにアメリカを脱出しようとするエンジニアがあふれているのでカナダ政府もエンジニアを選り取り見取りになっていると聞いたことがあります。もう優秀なエンジニアがアメリカを避けようとしているんですね。結果としてシリコンバレーの企業が海外に出て行っていきはじめている(インド、中国などを含めて)。ハイテク企業で一番必要なのは優秀な人材ですから人材のある所にオフィスが移動しはじめているわけです。これはUSAにとっては本当に痛い損失ですね。インドなどで雇えばそれで会社としては良いじゃないかとなるのですが経験を積んだエンジニアはインドにいるままになりますからUSAでこれまでイノベーションを起こしてきたようなエンジニアがインドなどでイノベーションを起こすようになるわけです。インドにとっては良いことなのですがUSAにとっては損失になるわけです。政治的なことをブログにするつもりはないのですが人材の動きを見ておくと10年先20年先のことを予測することができます。カナダはUSAにも近くこれからもっと発達していくと思います。イノベーション発信の地域になっていくでしょう。バンクーバー周辺にはたくさんのスタートアップがあります。顧客だった会社のエンジニアとは今でも交流をもっています。カナダは暮らしやすいですからこれからも順調に投資の資金が流れてかつエンジニアのる流動性と受け入れが続けばハイテクの一大地域の一つになっていくように思います。

ところでアメリカ人とカナダ人はずいぶん違うと言われます。私はカナダ人はより身近に感じます、おそらく日本人気質により合っているからでしょうか? 例えばこんな映画のクリップhttps://www.youtube.com/watch?v=g1awwAgU_t8&t=2s

もうバンクーバーのコンドは高くて買えません。
シーフードも豊富です。

日本にシリコンを再び!

ブログを始めてまだ日が浅くいくつもためてあったのをこの数日でどんどん公開していきます。最初はどんどん書いてペースをつかむほうがいいとか書いてあったのでいくつも書いてます。全部堅い話題になるんですがまあそれが目的ともいえるから。ペースがつかめたら一週間に一つずつ程度更新していく予定です。

さてと、今日の話題に関連するブログはGoogleで調べるまでもなくたくさんあり、たいして新しいことを書いているわけではないです。。。Googleでヒットするブログはもっと詳細に書いてありますのでもしこのブログを読んで興味持たれたら色々とサーチされることを薦めます。

80年代の日本はシリコンアイランドでした。世界のDRAM市場をほぼ独占するようにNEC、日立、三菱、そして東芝といった大手からSONY、パナソニック(あの当時は松下電器産業株式会社でしたが)なども半導体生産工場を日本のあちこちに持ち世界の半導体工場として機能していたんですね。業界をリードしていましたから名だたる学会での論文発表や世界の特許件数も日本はけた違いにリードしておりました。DRAMに関する優れた教科書も日本人執筆でそればよい教科書でした(今でも持ってます)。が、その面影は今はない。。。かろうじて東芝のNAND フラッシュメモリとSONYのCMOSセンサーが世界的にみてもシェアを持っていますがあとはニッチな製品を除くと冴えない。リンクは世界の半導体会社トップテンのリストですが日本の企業は一社も入っていません。

The Top 10 Semiconductor Companies

10社中数社はいわゆるファブレス会社で一社(TSMC)はファウンダリビジネスの会社になります。

DRAMは大量生産することが基本です。大量生産するためには巨大投資が必要になりますがDRAM単価は上げ下げが激しく利益があるときはドカンと大きいのですが単価が下がると赤字になるかかろうじて原価を回収するだけになってしまうことになり、日本メーカーはより利益率のあるSoC (システムオンチップ)に投資をシフトさせていきました。実際Qualcomm, NDIVIAはSoCを主体とした会社ですからシフトそのものは正しい判断だったのでしょう。しかしDRAMと異なりあの頃大量にでるシステムがなかった。PCが唯一だったといえるでしょうがPCはIntelがシェア95%をがっちり握っていた。まだ携帯電話わけてもIPHONEに代表されるスマートフォンはなかったですしテレビといってもまだまだアナログテレビの時代。SoCにシフトしていくには早すぎたのかもしれない。一方DRAMは製造にかかわるイールド(歩留まり率)の問題はあるにせよ、機材を購入し建物を作れば参入できる製品で、韓国、台湾といった後進国(あの当時の)どんどんと参入してきた。日本のやり方をまねたわけです(国家が大々的にサポートしたという点で)。日本の半導体生産拠点は多く九州につくられました。半導体は小さいので大きな港が無くとも飛行場があれば出荷ができるので大きな港のある東京、名古屋、大阪圏にある必要がないのが理由だとかどうとか若いころ読んだ記憶があります。あのころまことしやかにささやかれていたのが日本の半導体生産技術者の多くが週末韓国、台湾でアルバイトをしていたとかいないとか。Samsungなどでアドバイザーとして工場立ち上げにかかわり現金収入を得ていたというのですが真相全くわかりません。ノウハウを手早く手に入れるには経験者を雇うのが常套ですからさもあらんなのかもしれません。

さて時代わり現在、世界の半導体生産で大きなシェアをもっているのは台湾のTSCMと韓国のSamsungです。

このTSMC、中国はのどから手が出るほどほしいでしょう。今盛んにアメリカに半導体関連で締め付けられていますがUSAにはほとんど生産能力自体はありません。AppleはじめUSAの大きなファブレスセミコンダクター会社のほとんどどはこの2社が生産を請け負っている。かりに中国がTSMCを強制的にも撤収するようなことになればアメリカ経済は大打撃もちろん中国も打撃を受けますがもうさしものアメリカも手がでないでしょう。そうでなくても今アップルは製品を中国で作っていますから台湾からの輸入を止めるだけでアップルはチップだけ台湾から受け取っても倉庫に眠らせるしかなく製品の出荷は止まってします。Qualcommだってお客は中国ですから、台湾製品を輸入させないだけで株価は大暴落してしまいます。経済事項を政治に使うのはアメリカがずっと40年くらい続けてきている政略ですがグローバル化が進んだ時代、実際の痛みは殴りつけた側がより受ける時代のなりつつあると思います。が経済は軍事よりも人々に直接関わってくるので今の政情に対応できる体制づくりは必要だと思います。

そこで表題になるわけです。日本に今シリコンの生産拠点を作る。TSMCはUSAに拠点を作ると言っていますがUSAで作るとおそらく台湾、中国で作るより人件費を含めてコストがかかるはず。でも台湾製のAppleへのChipとアメリカ製の同じパーツに別値段をつけるわけにはいかないはず。となるならTSMCとしてもよりコストがかからない地域に工場を作るべきでしょう。技術者がまだ残っていて相対的に技術者コストが低くかつ、政治的、軍事的に安定していて電力、水等の問題もないとすると、日本は理想的な地になるはず。

残念ながら半導体は初期投資と継続投資が巨大です。TSMCは今も台湾は新竹エリアにあるサイエンスパークにあります。サイエンスパークにあるころで税金上の恩恵を受け続けているそうですがけっかとして継続的な投資ができていると思います。日本がそんなことをすると”先進国なのに”ということでバッシングを受けるでしょうが、”国策である”とはねつけるくらいの勇気も欲しい。

シリコン、ソフトウエア、そしてデータです。これらが基幹技術になっていく。

それとEVを後押しするためにも巨大バッテリー工場もあると良いかな。

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ソウル ロッテホテル

写真は韓国はソウル。良く行ってましたが最後の5年ほどは行く機会がなくなりました。それだけ私のかかわるエンジニアリングの世界では衰えたということなのでしょうか?

中国について再び

先のブログで中国での経験を書きました。別段礼賛しているわけでもなくバイアスをかけているわけでもなく単に個人的な経験として日本での顧客ミーティングと中国でのミーティングの違いを書いただけですが、YTUBEを見るまでもなく日米(そしてUKもかな)中国嫌い、中国恐怖の大合唱な様相であります。

確かに中国は目覚ましい勢いです。すでにGDPで日本のほぼ4倍、いずれアメリカも追い抜かれるでしょう。これはもう仕方ないこと。人口比が違いすぎている。19世紀に大英帝国が栄えたのは奇跡にちかいそうです(人口的にみて)。アメリカはそれなりに人口がありいったん経済力をつけたとたん、あっという間に大英帝国を追い抜いてしまった。大英帝国は実は20世紀になるころにはUSAに追随していたわけで(そのおかげで帝国をかろうじて維持できていたのですよ)。今それが中国、そして遠からずインドでも見られる光景となるはずです。実際GDPでインドはもうUKに肉薄しています。記憶が正しければ現在はUSA,中国、日本、ドイツ、UK, インドの順番。ちなみにカリフォルニアはドイツの次に入ります。一つの州ですが世界のトップ5に入るだけの経済規模なのですね。

GDPが大きな国は巨大なマーケットになっていく。これは歴史的に見ても史実といえるでしょう。日本がジャパンアズナンバーワンと言われていた80年代を振り返ればわかります。高級品の輸入が急激に増え、ぜいたく消費、海外旅行が大ブームになったのも80年代に入ってからです。海外にでても日本人がどんどん消費してくれる。今では考えられないかもしれませんがパリなどのブティックでは買い物制限(一人XX個まで)なども出たくらいですよ(日本人旅行者が全部買い取ってしまっていた)。

時が過ぎて今そのベクトルが中国になっている。よく日本人は海外で好かれていると聞いたりしますが本当でしょうか? 観光地ではみんなお金の方が好きですよ。今はお金をもっと使うのは中国系の観光客です。ロンドンに行けばわかります。ロンドンでなくても銀座でもわかりますよ。それを”お金があるからって。。。”と言ったビデオを見たりします。同じことを80年代、90年代始め日本人もしていたんだというのを知らないからなのだろうなと思いますが身近(東京などで)そういった光景をみるとあのようなビデオのコメントになるのでしょうか? 50年、60年代はアメリカ人がそうだったわけだし(買い物など)。人は裕福になるとまずは買い物をするようになります。それで経済が回るのです。

中国は技術を盗む、ともよく聞きますが50年代、60年代の日本も同じだったですよ。トランジスタを持ち込むのに日本政府はアメリカ資本100%の子会社を作らせなかった。そこで今のSONYの前身になる会社が合資で会社を作った。また契約上開けてはならないブラックボックスを日本企業のエンジニアが開けて中をみたといういまでは’武勇伝”にまでなっているような話もゴロゴロしています。若い世代はこういったことは知らないでしょうね。国が大きくなっていく過程ではこんなことはどこの世界でもあるんです。中国だけがそんなことをしているわけじゃあないというのは知っておいたほうがよいと思います。

80年代を通してジャパンアズナンバーワンだった日本が怖くなった欧米諸国が一斉にいわゆるジャパンバッシングを始めた。ご存じかな? 今盛んに中国にそれをやっているようにも見えますが政治のことは未知、特に今は政治と経済が過去と比較にならないくらい複雑の絡み合っている。

しかし国の強さは軍事力ではなく経済力です。大英帝国は軍事力ではUSAの上でしたが経済力がなくWWIのころにはすでにアメリカより国力はなかった。

こういったことを伝えた非常に良い本があります。アマゾンで見るとまだ日本語訳がないようですが世界の歴史を違った角度から鋭くとらえていると思います。英語でしかもページ数がかなりありますが非常におすすめです。読んで時間の無駄になることはないと思います。 リンクを張っておきます。

日本語訳が出たらぜひ手に取ってみてください。

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上海にて 

中国でのミーティングと日本でのミーティング



ブログをはじめようとしたきっかけは日本の外にいるもう還暦に足が届いている現役のエンジニアとして何かを伝えたいからというのが動機です。もっと詳しくはおいおい書きたいと思いますが、最初のブログから固い話になります。昭和世代で遊んでこなかったまじめなエンジニアの話に興味あれば読んでください。

出張多き人生ですが昨年秋に開発エンジニアに戻るまでの10年をマーケティングに所属するR&Dエンジニアとして顧客回りを主業務としてきました。最後の数年は中国に行くことが一番多かった。最近日本のYTUBEやブログを見ると明らかに中国バッシングのような記事、ビデオに出会いとても心配です。あのような態度、考えは国を豊かにすることはできない。国豊にならずして人豊になるわけがない。昭和世代はそう思う。もっとも私は昭和世代のまま(平成時代を知らない)で私のような昭和世代はあまりもう日本には残っていないのかもしれないが。

出張で日本に行くと、顧客訪問では まず受付で登録してお客様が会議室に通されミーティングが始まる。よくあるのが当初予定されていた出席者の幾人かが仕事が忙しくて出席できなくなったということで最悪は一人だけになったり。一通りのことが終わるころには予定の時間になってしまいそこで終わり。大きい会社ともなると受付の方(たいていの場合女性)がドアを開けて時間が過ぎたことを伝えられる。そこでごそごそと帰り支度を。。。 会議室からでても別段だれも次の会議者が待っている様子もなく、また会議に出席されていた方々も別段急いでいる様子はなし。シャンシャンとおわりその日の予定は滞りなく進む。。。

かたや中国。 受付がある場合もありますが小さな会社も多くその場合そのまま会議室へ。基本英語でのミーティングになりますが中国人の同僚がフォローする、私自身中国語を勉強しているので中国語での質問も少しはわかるのでその場合英語で答えますが通訳はなし(これ実は喜ばれる)。ここで日本との違いが出てきます。 まず、こちらの話がためになると思うとWeChatを使って同僚をどんどん呼び込み始めます。実際、こちらは売りに行ってますから製品だけじゃなく周辺技術や技術動向、最近でた学会などのことも話の中に入れています。 そうこうするうちに予定の時間になりますが大抵お客サイドがもっと延長して話がしたいと言ってくる。私の中国人同僚がその日の予定をみて、いきなり電話をしてそのあとの予定時間の都合をつけ、結果ミーティングが延長される。。。結果、お客サイドはかなり上(日本の役職で言って部長とかそれ以上)を連れてきてくれるんです。こちらの好意にはその場で返してくれるわけです。気に入ったから評価したいとかその場でその上司に言ってくれるので早い。もうこれ以上いると次のミーティングに間に合わなくなる寸前までいるのですが別れ際に決まってすることがWeChatのグループ作りです。作ったが最後、次のミーティングに行くタクシーのなかではもうそのWeChatによるQ&Aが始まる。もっと驚くのがお客を紹介してくれるのです。それもこちらにするのではなく紹介したいお客に直接電話(WeChat)してくれるのであちらから連絡がくるわけです。自分のところにもよってくれというリクエストですね。”話が面白い。 ためになる”と言うのはとても大事でそれに対する彼らの好意は素晴らしいものがあります。

たった一つの問題はというと、こういったことが当然のようになるのでいつ食べることができるか全くわからないことです。したがってとにかく朝ごはん(大抵ホテルでのバフェ)をきちっと食べておくことパン、果物、水をカバンに入れておくことを忘れないようにしていました。中国は大国ですからその日杭州でミーティングをして次の日には北京という場合普通夜の便で北京に行きますが、こんな場合最悪北京のホテルに到着(大体夜中11時過ぎ)まで朝から何も食べれないということにもなりえます。中国人の同僚たちはそれでも平気なのには驚くばかりです。私は空腹がひどくなると頭痛が襲ってくることがあり大変な状態になりますが、同僚もそのことは知っており、彼らはホテルに到着するまえに私に夕食の手配をしておいてくれるのでどんなに遅くとも夕食を食べていました。

これほどまでに日本と中国違いますが私は仕事では中国に行くことがすきでした。とにかく”来てくれて何かためになる情報、技術を話してくれて感謝する”と言ってくれるからです。そしてそれにたいしてできる限りの好意で彼らも返してくれる。お客を紹介ししかもそのコンタクトまで取ってくれるわけですがこれは小さな会社にとどまらず大きな会社でも一緒。それだけに中国に出張するまでにはこちらも十分に情報を仕入れていこうという気持ちになります。商談に結び付きますからね。

台湾も似ていますが台湾の人はそれに加え親切。ミーティングが長引いたときなど、休み時間にカフェなどに行って飲み物を買ってきてくれる。それも得てして自分たち(そのミーティングで一番偉い人)のポケットマネー。お茶を出してくれることもあり会社の経費では落とせないんだと台湾にいた同僚が言ってました。こういった好意をしてくれた時はもうほぼ間違いなく商談にまでこぎつけましたがこちらもやはり出張までにはずいぶん頑張りました。

習慣の違い、国民性の違いと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが”学べるときに学ぼう”というのは私のような昭和世代は普通なことだったなあと、気質が変わったのかな。でもこういったことを見ていても昨今の中国、台湾の躍進と日本の停滞を思わずにはおれないのです。

写真は中国は成都の旧市街地で。 ここは日本では三国志とパンダセンターで知られのですが上海などとくらべ物価は安く最近は若いエンジニアのリターンもありテクノロジーの会社も林立しています。とても良い街で食事もおいしい。 辛いですがね。四川料理の本場ですから。

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 火鍋

シリコン ソフトウエア データ


80年代終わりごろまで世の中の大企業は日本もアメリカも垂直統合型の企業でした。日本では三菱、NECはじめ巨大企業が企業群(グループ)をなしていましたしIBMをはじめとした世界の巨大企業もみな垂直統合型でありました。90年代にはいり垂直統合から水平分業に急速にシフトが進んでいきました。そんな中で生まれた新しい企業には

マイクロソフト(ソフトウエア)、 Qualcomm, nVidia(ファブレスチップメーカー)、TSMC (シリコンファウンダリ)、 Synopsys (EDAベンダー)、FOXCON(製造請負企業)など数々の現在の巨大企業があります。日本はこの波にうまく乗れなかった。結果として企業規模が小さくなりましたが同時に水平型企業の勃興も発生しなかった。

”Japan As Number One”という本まで出版された80年代の日本の姿を今は見ることができないのはこの転換期にうまく乗れなかったことが大きな要因だと言い切れると思う。自動車産業はそれでもこれまでのところ時代を生き延びてシェアをのばしてきていますがそれにも限りが見え始めた。

さて、今現在世界の巨大企業は?というと、ひところのGM, IBM、GE、NEC, 三菱を挙げる人は少数だと思われる。Apple, Microsoft, Google, Facebook, Alibaba, Tencentなどが先にあげられるのではないか? これらの企業に共通するのが題材とした、シリコン、ソフトウエアそしてデータ。 これら以外でもTeslaも立派にシリコン、ソフトエアそしてデータを企業戦略の中心にしている。

シリコンとはチップをさします。これらの会社すべてコアとなるチップは内製もしくは内製にむけて巨額投資をしている。投資額は数千億円になり日本の企業がもう太刀打ちできない規模となっている。これまでQualcomm等チップベンダーやIntelなどから調達してきたシリコンに戦略的を見出し自社開発に大きく舵をきったわけです。AppleはMACまで自社のCPUを搭載するとNewsに出ていたくらいです。

ソフトに関しては元々がソフトウエアの会社である場合が多いがAIを筆頭として開発の手を緩めない、開発はすべて自社で行い外注することはありません。

それに加え今はデータが新たな石油(金)になっている。データという油田を持つことがシリコン開発、ソフトウエア開発に必要な資金を提供しているわけです。またデータソフトウエア、シリコンの性能を左右するにまで至っている。

先ごろ”教養としての投資”という書籍を読みました。かなり良い本で若い人にはぜひとも読んでいただきたい。とてもよくポイントをついてあるのですが著者の意見としてFacebookはあまり価値がないという記述を見つけました。ソーシャルメディアのプラットフォームとして以前あった(?)ミクシーとの比較でそのように書いておられたわけですが、FBを単なるソーシャルメディアのプラットフォームとみるのは間違っていると思います。FBはデータとソフトウエアの会社でありその成果物のひとつとしてフェースブック, インスタグラム、ワッツアップがあるわけです。データを基にしたADはマーケティング、セールスとして非常に効率、効果が高いです。それがサービス(製品)であり利益を生み出しています。利益から得られたお金を今大量に投資している先はシリコンになります。データを処理するには有能なソフトウエアが必要でそのソフトウエアをいかに効率よく実行するかの鍵はシリコンにあるのです。この3つは互いに切っても切れない形で関連しており水平分業が成り立たなくなっているわけです。

資金源となるデータを日夜集め続けそれをソフトウエアでちょうど石油からガソリン、プラスチック等を生み出すように新たなサービス、新たなアプリを生み出し、そしてそのソフトウエアの実行環境(チップと言っておきます)を自分たちで作り上げようというのがこれら巨大企業の現在の戦略になります。

自動車にもその転機が訪れていると思います。そのもっともたるのがテスラです。テスラを単にEVの会社だと理解していると間違いになると思います。 かれらの本当のバリューは彼らが集め解析している膨大なデータだと思うのです。自動運転に向けてGOOGLEも含めてしのぎを挙げていますがテスラはすでに何10万台もの車が実際のオーナーが運転して市街地、高速道路を走っています。そして毎晩走行の記録がテスラ社のサーバーに吸い上げられそのデータが解析されソフトウエア、アルゴリズムの改良に使われ続けるわけです。こんなデータをもつ自動車会社、日本にはないですね。トヨタがどんなにがんばってもテスラの持つデータを持つまでにはもう何年もかかるのではないでしょうか? データに価値があるわけです。テスラはそのデータいずれ売り物にできるかもしれない。ライセンス料を取ってね。しかも車の場合、地域、国民性とうで自動化運転のアルゴリズム、設定等の細かなチューニングは必ずや必要となる。ハードが仮に作れたとしてもそれだけでは自動化運転には程遠い。ソフトが仮にできたとしてもそれでも飛行機やロケットとことなり人間社会というもっとも複雑で数式で表せない場面適合させるにはデータに基づく学習がぜひとも欠かせない。 テスラではそれに加え、戦略的に重要なシリコン内部で設計もしている。じつにシリコン、ソフトウエア、データ な会社です。

日本はこのシリコン、ソフトウエア、データというこれからの重要テクノロジーにまたしても乗り遅れようとしている。自動車産業も安泰ではなくなっている。エンジン開発はノウハウのかたまりで欧米と日本がほぼ独占してきたが電気、そしてデジタル化が新たな挑戦者を生み出した。中国、USAではそれらの挑戦者が既存の車会社にたいして優位に立とうとまでしている。

シリコン、ソフトウエア、 データ。

教養としての投資という本はとても良い本です。若い人はぜひとも早いうちに読んでおくとよいです。読むだけじゃなく実行も。

Amazon.co.jp: ビジネスエリートになるための 教養としての投資 eBook: 奥野 一成: Kindleストア