転職を考える時

転職、考えたことがありますか? 今、日本は安定志向、定年まで勤められる会社に人気があると聞きますがあなたが今30歳だとしましょう。あと何年働きますか?35年? 私がUSAにやってきたのは29歳の時ですがその当時Googleも今のほとんど全てのハイテク企業はなかったのです。マイクロソフトがまだWindowsをもたずMS DOSだけを持っていたような時代。SONY,松下、NEC 富士通などが世界を席巻していましたが今やその面影もない。SONY、いまや金融業でしょう。SONYブランドの製品売れてませんよ。私ももうあまりほしいとも思うものがSONYにはありません。30年前には考えられなかったことです。おそらく30年後Facebookは存在していないかもしれない。Googleも。今のFacebook, Googleとしてはですが。SONYにように業態が変化していくと思います。そうでない会社は生き残れないでしょう。Appleはほとんど倒産のところから今のAppleになりましたが私の目には以前とは全然違う会社です。マイクロソフトはうまくOSとOfficeだけの会社から脱皮をしていますね。

業態、業種変われば、必要な従業員も変わるのです。30年間、ずっとその会社で働くのは難しいと思います。

では、自分の持っている技術、経験が価値を無くすのか?それはまた違う話です。その技術を必要とする会社はあります。その経験を必要とする会社もあります。それが自分の今働いている会社ではないかもしれないですが。

また技術も回っているのです。その時ホットな技術、いったん廃れたりしますが不思議とまた盛り返してくる。ですからホットな技術を追いかけるエンジニアもいれば地道にある分野で経験を積み重ねていくエンジニアもいます。’そんなのもう古い’と思っていると”あれあれ”と言う間に表舞台に戻ってくるのを何度もみています。ホットな技術はビジネスを呼ぶので、たとえそれが大学等の教育関連でも、追いかけたくなりますが人によってはそういったことに目もくれないこともあります。半導体の話ではゲルマニウムダイオード、めちゃくちゃに詳しい人はもうほんの一握りでしょう?でもやはり需要はあるんです。

で、転職。USAでは転職を考える動機の一つにキャリア、そして収入があります。転職をすることでキャリアと積んでいく、給与を大幅に上げていく。とても大きな動機です。 私ははるか以前元上司に”お前は日本から来ているから転職をあまり考えないかもしれないがUSAではキャリアを積む、給与を上げるためには転職を避けて通ることはできない”と言っていました。マネージャや上位のエンジニアとして転職していくのです。またエンジニアから別キャリアを目指す場合も転職を通すほうがより一般的です。

退職金がないのが普通です(いわゆるペンションをもつ会社はもう極々少数)。ですから一つの会社に長くいることで得られる”後で入る”収入は期待できない。もっとも社歴が長い人もいて順調に出世するひとももちろんいます。出世する人はそれなりに社内政治等に勝ち残って来たひとですね。上に行けば行くほどやはり競争と政治的駆け引きはあります。もっともポジションが空いたら社内からの昇進というのはあまりないこともあります。マネージャを雇うというのは普通だからです。元上司曰く、100%内部昇進させる唯一の組織は”軍隊”だと言ってました。事実将軍を外部から連れてきたという話は聞いたことがありません。たとえ国防大臣を外部から連れてきても将軍は内部昇進。正しく軍だけですね。

有望な元上司(彼、彼女)がどこに行っても呼ばれる人もいます。”これは”と思える上司がいたらついていくのはところ問わず同じですね。

とくにキャリアを積み始めた最初の10年、3度の転職は普通だと思います。3度転職することで給与を2,3倍にまで増やすことも可能になります。10年同じ会社にいてはほぼ不可能です。その後は少し落ち着いて更なる経験を積んでDirectorやそれ以上を狙う。。。学歴もありますがPh.Dであれば12,3年でDirector以上にまで進む可能性はあります。私はMSどまりですがDirectorにまでは進みました。もっとも今はまた設計エンジニアに戻りましたが。でもこの新しい経験を積んで再びいずれDirectorのポジションを狙うかもしれない。転職を使ってキャリアと収入を上げていく、これを知っておかないとシリコンバレーではあまり成功しないと思います。 そしてそれよりもっと重要なのが人脈でこれはどの国でも一番重要です。

学歴は有効ですが、例えばMBA、比較的若いころなら良いですが50歳も過ぎてMBAのために学業につくのはペイしません。会社が負担するなら良いですが学費は膨大です。若い時でも学費とMBAで得られるであろう将来のペイ(給与等)を能々考えることです。特にエンジニアのままでいるのであればほとんど価値がありません、MBA。 Ph.Dの方が良いです。でもある程度歳をとると学費、しっかり考えないといけないです。その間は機会があっても両立できないからあきらめることにもなりますよ。

会社は自分の行先を作ってくれません。自分で探し、自分で決める。その一つの選択肢に転職がある。転職することで可能性が広がる。この写真は以前のブログでも使いました。スイスのチューリッヒで上った山の上で。この山のふもとには世界的に著名なIBMの研究所があります。若いころはそこで働きたかった。

この図を見ると一目瞭然。長く働いたからと言って給与が上がっていくわけではないのです。エンジニアはというと転職をしながら新しいプロジェクトに関わりつつ実力と実績をつけ同時に収入も上げていくのです。