先輩、後輩 は 無い!

あなたの上司は、おそらくあなたより年上であなたより社歴が長いでしょう。あなたが日本で働いていれば、それが例えいわゆる外資系でも90%以上の確率でそうだと予想できます。 そして、先輩、後輩、先に入社したら先輩。普通歳上だけど場合によっては数年年下のこともあるかな?でもお互いに年齢がなんとなくわかるので年下の先輩は言葉使いは丁寧だったりするのでしょうか?日本では外資と言っても転職でどんどん人の移動があるのはセールスくらいなのではないでしょうか?

私はそんな環境に4年もいなかったのでもうすっかり忘れていますが、この25年、私の上司は皆私より年下です。年齢差は今の上司がたぶん15歳程度、その前の上司は大体10歳程度だったと思います。私は現在の会社では一番新参もの(一番後輩)なわけですがプロジェクトではリーダーです。マネージャでなく一番シニアなエンジニア群の一員です。シニアだからといって上下関係は全くないですよ。同じボスですしね。

年下なマネージャ、場合によっては後から入ってきましたよ。マネージャが転職や昇進したからと言って空きを誰かが昇進して埋めるということは必ずしもありません。上層部がどうしたいかで決まります。特にエグゼクティブが変わった際には新しくやってきた人が最初に行うのはマネージャの刷新です。首になるマネージャも多いのです(大体6か月程度のパッケージをもらう)。自分が雇った新しいマネージャを連れてくることで人事面で優位に立とうとしますし、刷新することで内外に新風を吹かせることをアピールする狙いもあります。 エンジニアはそのあと刷新することがある。新しいマネージメントがきて、その人がチームをどう運営していくか次第です。しかしながら継続を必要とすることが多いので急激な変更はしないのでエンジニア(スタッフ)はエグゼクティブ交代による影響は受けにくいです(が100%安全でもない)。

そんなことがありますから自分の上司が年下になることは極々普通です。年下でも上司。”歳下の下では働けない”と言う人は向いていないです。またいわゆる体育会系の考えが強い人もあまり向いていません。女性のボスも多いですよ。私は8度の転職、社内での移動等で過去都合20人以上のボスを持ちましたがそのうち5人は女性がボスでした。

日本では年齢、性別等にわだかまりがまだあると聞きますがボスは、ボス。私はこの割り切りは出来ています。しかし仕事を離れたら皆同僚か友人です。一緒に出張にも沢山行きましたが仕事が終わって夕食時などは同僚いや友人としてお互い接していました。仕事は仕事。彼には人事面、仕事の優先順位の決定などで権限を持っているだけ。。。もちろん私は上司に恵まれたほうなので年下の上司からも沢山学びましたよ。例えばマーケティングとは?など。

では昇進しないのか? もちろんしますよ(可能性)。社内で順々に昇進している友人、元同僚もいます。でも必ずしも”タイトル”として昇進するとは限りません。役職手当だ、どうのこうのとタイトルと給与が密接に絡んでいる日本とはずいぶん異なりますし日本でも時々聞く”ダブルラダー”、つまりエンジニアとしてのレベルとマネージメントのレベルを持つ会社も多いのです。 例えば(上から順に)

ーSr. Fellow, Fellow, Distinguished Engineer, Principal Engineer, Senior Engineer, Lead Engineer, Engineer

– CTO, VP of Engineering, Sr. Director, Director, Manager

など。CTOは普通一人ですね。 会社によってはSr. Fellowの数はVP (Vice President)の数より圧倒的に少ない(つまり会社内での地位はSr. Fellowの方が上)ということもあります。 この二つ、違いはStaffかManagerかです。 Managerは人事権を持つがStaffは持たないとでも考えておけばいいです。

ちなみにEngineeringの会社では通常Engineeringのラダーの方が昇進度は速いです。各々のレベルに沿って給与、賞与の目安があります。部下を持ちたくない、プロジェクトを管理したくないという人も多いですね。日本では未だある程度まで上がるとどうしてもマネージメントに移っていかざる負えない会社もあると聞きます(給与面もありますが社会的に地位を示す必要があるからとか。。。)

スタートアップ企業はもっとフラットでEngineeringは全員 Member Of Technical Staffというタイトルにしているところも多いです。こういった会社では名刺にはかなり好き勝手なタイトルをつけることを許していることが多いです。 例えば AI Expert Engineerとか。Member Of Technical Staff、日本語にすると”平社員”になりますよ。 はるか以前日本で友人が銀座に連れて行ってくれましたが私はこのタイトル、友人は確か部長になりたてのころ。部長さんと平社員。やはり部長さんが人気でした。タイトルはこんな場合に重宝するのかな? ちなみに今現在の私の名刺にはDSP Engineer とあります。タイトルでなく何をやっているかがなんとなくわかるだけ。。。

タイトルが必要になるのは顧客にあう、ベンダーに会うなど外部と交渉する立場にある場合です。したがってファイナンス関連の会社ではVPはごろごろいますよ。VPって普通の会社のManager(以下)程度であることもあります。例えば

– First vice president, Sr. Director, Director, Vice president

などという一風変わったタイトル構成になっていることもあります。 Firstがつくと偉い(地位が高い)です。VPの名刺をもらってもすぐに”偉い”と思わないことです。以前私が働いていたエンジニアリングの大企業ではセールスのVPは1000人以上、エンジニアリングでも200人以上いました。 Sr.がつくとぐっと数が減って5人程度になりました。つまり形容詞(Sr.など)まで見ないとその人物がその組織内でどんな地位かはっきりしないわけです。もっともタイトルで人物を測る必要はないです。タイトル、その人のいる組織ないだけの決め事、それを外にまで持ち出して”偉そうに”しておられる親爺を見ると私はげんなりします。XXX会社の部門長といっても私はXXXと全く関わり合いなく、たんに他人です。

もちろん、USAだって日本でいうところのセクハラ、パワハラはありますよ。人事に訴えてもらちが明かないこともあります。しかしながら流石に訴訟の国、弁護士を雇って会社と対峙するひともいますよ。そこまでいかなくとも州政府のある部門にクレームを入れる。 人事はマネージメントに雇われているのですからマネージメントを守る方向に向かいますがひとたび会社自体がトラブルになりそうになるとCEOの目に触れますから今度はバッサリそのマネージメントを切ります。こんなことは長い経験で何度も見ているのでUSAといえどもセクハラ、パワハラは日常茶飯事であると最後に触れておきます。 どこの国にもあります。マネージャに媚を売るスタッフも必ずいますよ。YES Manはどの国、どの組織でもマネージャに好まれるのです。これは時代、場所を問わず人間的な真実ですから。理想を持ちすぎるとがっかりするかもしれないです。会社、マネージャにとっての公平は必ずしもあなたにとって公平でないかもしれない。そんなものです。人間に平等に与えられたのは一日は24時間ということだけだ、と言いますし、これが唯一の真実でしょう。

その24時間をどう使うかはあなたのチョイスなわけです。

クラシックカー。 現代の車たちの”先輩”。 ここまでくると”価値”がありますね。ここまで輝いてこそ”先輩”を名乗ってほしい。。。

ビールを飲むのに上司、部下、先輩、後輩も必要なし。 皆、友人。ビールの席では平等。