物事にはタイミング(時期)があるとよく言います。自然が身近な職業(農業、漁業など)に従事されている方々はそれをよくご存じですね。種をまく時期と言うのがありますし、漁にでる時期もありますからね。もっとも最近はこういった領域も温室だったり、工場における水栽培だったり、養殖だったりと変わってきているそうですが旬、時期は今でもありますからね。
人生、仕事にもそのタイミングはあります。以前”成功”について書いたことがありますが、その成功のリストに付け加えるものがあるとするなら、タイミングはきっとその一つになりますね。
エンジニアなので技術的な面での話になるのですが理論、アイデアがあってもそれを実現するための基礎技術がまだ出来上がっていないか、未熟なことが多々あります。基礎技術が確立していない時期に製品開発、会社を興すようなことがよくあります。華々しく発表があることも多々あるのですが、なんとなくその後消えてしまった、という会社、製品、本当に多いのです。例えば私自身今かかわっているのですがARグラス(AR眼鏡)。Googleが華々しく発表しましたが売れなかった。日本でもSONYなどが出したのですが町で掛けている人見たことがありますか?ないと思います。VR(バーチャルリアリティー)も同様です。一方、時期が旬なタイミングで発表された 会社(創業)、製品は大成功を収めています。当たり前ですが、時期を見る目はとても大切です。私の技術分野、日本の大企業は数々のコンセプト(製品やアイデア)を80年代、90年代に発表していました。企業がとても元気だったころです。ただ、多くのコンセプトは実現しなかった、もしくは出来上がった製品が”使えなかった(使いにくかった)”。例えばいくつかの企業がVR(バーチャルリアリティー)の製品を出したと記憶していますが大きすぎ、重いヘルメットを頭にのせ、大きな眼鏡をかけるようなものだったと思います。大学の研究ならわかりましすが、製品となると時期が早すぎたのですね。 一方、遅すぎるのも問題です。IPHONEが出た時、真っ先に飛びついた企業は?というと日本の企業ではないですね。”日本も頑張った”と思うのですが、現実はというと日本の企業はマーケットシェアでは”その他”に含まれてしまうほどに少ないです。タイミングを逃した、と言えるでしょう。人々、社会の需要も時期を考慮するうえで大切ですね。人々、社会が求めようとしている製品、サービス、テクノロジーをその”旬”な時期に出せると大成功ですね。車で言えばTeslaでしょうか?Tesla以前にもEVはあったのですよ。TeslaがイノベーターだったわけではないのですがTeslaは売れた。Tesla以前はなんかちょっとデザインがかっこ悪かったりしますが、Teslaはスポーツカーの要素を全面に出しましたね。それにカリフォルニア人の環境に対する関心事にも訴えることもできた。電池がよくなり走行距離も飛躍的に上がった。。。製品の質(特に初期の車は色々と問題がありました)は良くななかったが売れましたからね。
アマゾン、創業したときどう思いました?多くは”それまでのドットコムの会社同様いずれ資金が底をついて倒産するさ”と思ったはずです。ですが長期にわたり利益がなかったにも関わらず倒産しなかった。多くの人が”あの時投資しておくんだった”と悔しがったかもしれません。私はAppleには投資しましたがAmazonはしなかった。。。Teslaもしなかった。。。見る目がないんですね。3社とも時代のタイミングに乗り”且つ”、社会(人々の生活)をリード、創造してきたからその先行投資の利益を得ているのですね。
私は”時期”、人生にとっても重要だと思います。自分のことですから企業、国家よりもっと重要だと思います。時期を逃した、時期早々、旬、これまでの人生を振り返るとまあ色々と思い出せます。時期と並行する形で”居場所”も重要だと思うのですね。”居場所”というのはまさしく”場所”です、例えば国、会社などを挙げることができるでしょうね。日本がバブル真っ盛りの頃にUSAにいたのでバブルの恩恵とそのすごさを全く知らないでいます。とにかく凄かったそうです。シリコンバレーがドットコムのブームで”イケイケ”だった時期があります。私はその時シリコンバレーにいましたが”ドットコム”とはあまり縁がない会社でエンジニアをしていたのでやはりあまり縁がありません。ドットコムという旬 (居場所:会社)に乗れなかったのですね。私がハードウエアのエンジニアでドットコムはソフトウエアが主体だったから。。。と言い訳は出来るのですがあの当時の友人たちの中にはソフトウエアの経験が少なくても”人手不足”に便乗するように華麗に?移っていった者も沢山います。シリコンがソフトエアに取って代わられるその転換期だったかなと思います。私が長く務めた会社がどんどん縮小していく中マイクロソフトそして華々しくデビューしたGoogleが一層勢いをつけたころですね。あの頃Appleは倒産寸前だったのですから。イベントに参加することの重要性とはこのことをいうのだな~と嵐が過ぎたころにつくづくと思いました。時期と居場所ですね。
今はAIが旬です。AIにも乗り遅れるかな~、いや、もうそろそろ引退を考える時期に入ったからと思っていたのですが、AIがやってきて(旬になって)、またシリコンが重要になった。AIって言っては悪いですがアルゴリズムじゃないのです。もっとも今盛んなAIであってそれがAIのすべてではないのですが、今が旬のAIはアルゴリズムというより、いかに効率よく巨大なデータを処理するか、なのですね。これってハードの問題なんですね、非常に簡単に言ってしまうと。色々なモデルを作っていますが私のようなハード屋さんから見るとどれも似たり寄ったり。次元が違ったりグラフの形が違うのですがそれくらい。AIを研究されている方の猛反発を受けそうですがね。さてハード?シリコン? この10年来優秀なエンジニアはソフトウエア領域に進んでくれたおかげで?私のようなもう第一線を離れようとしているエンジニアに再びチャンスがやってきたのですね。というわけで今はGAFAの一社でAI関連のシリコン開発責任者の一人になっています。実際の開発を担当するのですが旬が戻ってきたようです。ソフトウエアを担当するエンジニアの平均年齢とシリコンを担当するエンジニアのは私の部署でもすくなくとも10歳はハードが上かな~と思います。私のようなエンジニアが多いです。今回はうまく時期と場所が合ったようです。AIのシリコンをやっているというだけで今色々と新たなチャンスがやってきています。GAFAでやっているというだけでいろんなベンチャー企業から声がかかるようになりました。一躍また”求められる人材”に戻ったのですね。時期と居場所、これをして幸運と言うのかもしれない。仕事だけじゃないですよ。私の古い日本の友人でもう25年も前になりますがそれは、もうこれまで会ったこともないような美人な女性と結婚したのがおります。美人だけじゃなくとても気立てがよかった。同僚でかつ同じプロジェクトに従事していたのですが初めて紹介されたときさすがにうろたえました(それくらいの美人)。なれそめを聞くと”へええ”となるのですが居場所が本当に良かったのですね、しかもその奥さんはその時誰ともデートをしていなかった(時期)。居場所と時期そのものじゃあないですか!
時期と同じ音に磁気があります。私のようにメカニカルな腕時計をする者にはあまりうれしくない磁気ですが、磁力は引き付けるか、反発します。自分を引き付ける良い磁力に出会うと良いですね。悪い磁力もありますからその磁力、悪いと思ったらできるだけ離れるか、その悪い磁力に反発する、別の良い磁力を見つけることも必要でしょうね。良い磁気に人はついてきます。私の元上司に仲間と会社を作っては成功させていた人がいます。ほとんど全ての企業を大会社に買収された実績をもちます。かれには5人の”直属の部下”がいましたが、いつも一緒。一緒に会社を設立して一緒に辞めてまた一緒に始める。彼が磁力になっていたのです。残念ながら昨年初めに亡くなられましたがその直前にEMAILをもらいました。私がその当時ちょうど始めた仕事に大層興味を持ってくれていました。こんどコーヒーでも一緒にしようと言ってくれていたのですが突然亡くなり唖然としましたが”磁力”が私にもやってきたのかな?とあの時思いました。私自身は磁石になれない(そんな器ではない)ですからいつも良い磁力にさらされていたいと思います。そんな磁力の場に長くいると鉄でも少しは磁力を持つようになるのです。それが経験というのでしょうね。人を引き付けたいとは思いますよ。そうだな、それが先ほど書いた元同僚の奥さんのような絶世の美女だったら良いなあ。そうなるような磁力を授かりたいものです(残念ながら生まれながらの磁石ではないので)。
タイトルの写真はハリウッド界隈で。古い人なら知っているPretty Woman(映画)で最後のシーンで出てきます。 あ、知ってるとなればあなたは昭和生まれ!平成世代はこの映画を知らないことも多いのを最近知りました。ジュリア ロバーツさんはこの映画で一躍スターになりましたね。